鍵と鍵穴 2020 4 19

書名 分子レベルで見た薬の働き
著者 平山 令明  講談社ブルーバックス

 私は、タマネギが大好きで、
「いったい、どのような分子構造になっているのか」と興味があります。
 現代の技術では、X線解析装置で、
タマネギの分子構造を知ることができるでしょう。
 さすがに、「おいしさ」を分析するために、
X線解析装置を使うことはないでしょう。
 ところで、「水」は、不思議な物質です。
何でも水に溶けるのです。
いったい、どのような分子構造になっているのか。
 これは、X線解析装置を持ち出さなくても、
水は単純な分子ですので、その分子構造は見当がつきます。
分子構造がわかれば、水の不思議が解明できます。
 さて、細菌にしても、ウイルスにしても、
たんぱく質で構成されていますが、
やはり、分子構造があります。
その分子構造がわかれば、薬を作ることができます。
 ここで重要なのは、分子構造の形状です。
つまり、たんぱく質が、どのような形をしているかが重要です。
 簡単に言ってしまえば、できたてのたんぱく質は、
トイレットペーパーのように長いものです(一次構造)。
このままでは、たんぱく質は働きません。
 このようなトイレットペーパーを丸めると、
いろいろな形ができますが、どこかに「くぼみ」があります。
 この「くぼみ」に、別のたんぱく質がはまることによって、
その機能が発揮されるのですが、
過剰に発揮されると、病気が発生します。
 逆に、「くぼみ」に別のたんぱく質がはまっても、
不活性なままで機能しない場合がありますが、
これも病気の原因となります。
 あるいは、使うべきではない「くぼみ」に、
別のたんぱく質がはまっても病気になるでしょう。
 このような様子は、鍵と鍵穴に似ているでしょう。
鍵を鍵穴に入れて、ドアを開けっぱなしにしてしまった。
そうすると、雨風が入り込み、部屋の中は大混乱(病気)でしょう。
 逆に、晴れて気持ちがよい日には、ドアを開けて換気する必要があります。
換気をしないと、部屋の中は、湿気が増えて、壁や家具が傷みます。
これは、内装が「病気」になったようなものでしょう。
 新しい薬を作るには、X線解析装置を使って、
鍵穴がどこにあるかわかれば、さらに鍵穴の形状がわかれば、
鍵(薬)を作ることができます。
なんだか鍵師になった気分ですね。
 昔は、経験と勘で薬を作っていましたが、
今は、X線解析装置を使って、たんぱく質の形状を観測することによって、
薬を作る時代になりました。






































































































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